自律神経失調症は「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れる事で生じる疾患です。緊張する必要のない場面で交感神経が活性化してしまうと焦り・動悸・発汗・不眠などの症状が出てしまいます。覚醒レベルを上げて活動しなければいけない場面で副交感神経が活性化してしまうとだるさ・眠気・意欲低下などが出てくるのです。
しかし自律神経失調症に用いられているお薬は、自律神経に直接作用しているわけではありません。
自律神経失調症の治療薬として使われているお薬というのは本来は別の疾患の治療薬として用いられているものばかりなのです。
自律神経失調症の治療で処方されるお薬は、
・精神安定剤
・抗うつ剤
・睡眠薬
などがあります。
これらのお薬は
中枢神経にあるGABA受容体のはたらきを強めることで眠りやすくする作用があったり、中枢神経のモノアミン(セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリン・アドレナリンなど)を増やすことで、気分に影響を与えるなどの作用があったりします。
これらは、本来は自律神経を整えるために服用するものではなく、うつ病・不安障害・不眠症といった疾患の治療薬として用いられています。しかし精神状態・睡眠の質などを改善する事によって間接的に自律神経のバランスが整う作用が期待できるため、自律神経失調症にも用いられているのです。
お薬だけで自律神経失調症を治せるのか?
自律神経失調症に用いられるお薬は、自律神経そのものに作用するのではなく、間接的に自律神経のはたらきを整える作用を期待しているだけで、直接自律神経を修復したり、自律神経のバランスを正常にする働きがあるわけではないのです。ですから、自律神経の失調を直接的に治す効果はありません。
「病院でもらった自律神経失調症のお薬をずっと飲み続けていますが、まだあまり良くなりません」という方が多くいらっしゃいます。お薬の服用を続けていればそれだけで良くなっていくと考えていらっしゃるかもしれませんが、自律神経失調症におけるお薬というのは「治療の補助的な役割を持つもの」に過ぎません。そのため、すでにお薬を飲まれている方はお薬で症状を和らげながら他の治療法を必ず並行していくことが大事なのです。
自律神経失調症のお薬と上手に付き合う
お薬の種類によっては、お薬に依存したり長期間服用することで耐性がついてしまってお薬の量が増えたりしてお薬を飲むことを止められなくなってきます。もちろん長期間の服用はからだに良い影響を与えません。ですが、自律神経失調症のお薬を飲むことで得られるメリットも少なからずあることは否定できません。
お薬だけで治るわけではありませんが、お薬も使う事でもしかしたら自律神経失調症を早く治す事ができるかもしれません(コクリは医療機関ではないのでお薬を飲む事を奨励したり否定したりはしておりません)。
自律神経失調症のお薬(抗うつ剤|睡眠薬など)を用いる際、その目的は大きく2つ挙げられます。「間接的に自律神経のバランスを整えること」「症状を和らげる事で悪循環を断ち切ること」です。
間接的に自律神経のバランスを整える
自律神経失調症の原因として多いのは「ストレス」と「生活習慣の乱れ」の2つだと考えられています。
ストレスによる気分の落ち込み・不安で自律神経失調症の症状が出ているのであれば、抗うつ剤を使う意味があるのかもしれません。
生活習慣の乱れにより不眠になることで自律神経失調症の症状が出ているのであれば、睡眠薬を使う意味があるかもしれません。
症状を和らげる事で悪循環を断ち切る
自律神経失調症では様々な症状が原因不明で生じ続けるため、徐々にこれらの症状を気に病むようになってしまい、それがまたストレスになり自律神経のバランスを乱してしまうという悪循環にはまってしまいます。
例え表面的にであってもつらい症状を抑えてあげる事で、悪循環から抜け出し不安やストレスを和らげる効果が期待できるのであればお薬を使う事は意味のある事かもしれません。
自律神経のお薬を飲まれていなければ
コクリでは自律神経のお薬を飲むことを奨励しているわけでも否定しているわけでもありません。もしお薬を飲むかどうかを検討しているのであれば、まずは当院の整体を受けてみてはいかがでしょうか。
また長期間お薬を飲んでいて改善がなかなかみられない場合もぜひ一度当院においでください。